ハトムギとは

ハトムギの歴史・栄養

ハトムギの歴史・栄養

ハトムギの歴史

ハトムギの歴史

ハトムギはイネ科、キビ亜科、ジュズダマ属の一年生作物です。

ハトムギの歴史は古く、インド北東部のアッサム地方からミャンマー付近にわたる地域で栽培され始めたと考えられています。
インダス文明期に記された歴史的な詩節『リグ・ヴェーダ』の中にハトムギが登場することから、紀元前1500年頃にはすでにインドでハトムギ栽培が広まっていたのでしょう。

中国へはそれから1500年後、後漢時代の名将・馬援が持ち帰ったとされています。
滋養強壮食品として重宝されたハトムギは“ヨクイニン”と呼ばれ、司馬遷の『史記』の中にも記述が見られます。
“世界三大美女”と称される楊貴妃も愛用していたとか。

日本にハトムギがやってきたのは享保年間(1716~1735年)のことで、中国から伝えられたそうです。 当初は「トウムギ」「チョウセンムギ」「シコクムギ」などと呼ばれ、主に漢方薬や滋養強壮の料理に使われていました。

江戸時代を代表する薬物学者・貝原益軒は大病をわずらった後や出産後の体力回復に、ハトムギを処方していたといいます。ハトムギは食糧というよりも、薬用植物としての側面が強かったようです。

そして近代に入った1884年頃、厚生省がハトムギを保健食として推奨し、1943年には戦争による食料不足を補うため、増産がはかられたこともありました。

近年では健康志向の高まりや「マクロビオティック」ブームを受けて、ハトムギが持つとされている様々な効果に注目が集まっています。

健康食としてのハトムギ

健康食としてのハトムギ 健康食としてのハトムギ 健康食としてのハトムギ

中国、韓国、日本において、薬用植物として利用されることが多かったハトムギですが、東南アジアではより身近な植物として親しまれているようです。

特にタイやラオスでは、穂からもぎ取ったハトムギの殻を手で割って、そのまま中身を食べたり、穂ごと茹でたハトムギが屋台で売られていたりと、気軽に口にできるスナック感覚で食されています。

最近ではわが日本でも「スローフード」や「食育」、「マクロビオティック」の動きに影響されてか、ハトムギを漢方薬のように摂取するだけでなく、ご飯に混ぜて炊いたり、お菓子の材料に入れるなど、日常的にハトムギを取り入れる方が増えつつあります。

そこで気になるのが、ハトムギの栄養と効能。ハトムギは穀類の中でも高タンパクで、タンパク質の消化率も優れています。
米、小麦のタンパク質と違って、アレルギーの原因になることがほとんどないのも利点です。

また精白したものをハトムギ、米、小麦で比較してみると、ハトムギは繊維、ミネラルをより多く含んでいることがわかります(下記グラフ参照)。

そして効能ですが、
民間療法では

  • いぼ取り
  • 滋養強壮
  • 鎮痛
  • 老廃物排出
  • 利尿
  • 臓器の機能向上
  • 健胃
  • 代謝向上
  • 整腸
  • 美肌の作用

があるとされています。

また含有成分の「コイクセノライド」には腫瘍抑制効果があるといわれ、研究されています。

体に良いとされるものでも、摂りすぎは禁物です。

他の食品とバランスよく組み合わせて、ハトムギのある健康的な生活を楽しみましょう。

精白した穀物の成分比較

※ハトムギは日本食品分析センターの分析結果、それ以外は日本食品標準分析表などによる
※水分を15%換算したもの
※ハトムギは精白粒、米は水稲、小麦は薄力粉

精白した穀物の成分比較 精白した穀物の成分比較 精白した穀物の成分比較